◇自分の感受性くらい◇

心臓えぐられるようなコトバたちに
これまでいくつか出会ってきたわけだが
ただぼくが心底心を動かされたのは
そのコトバが織り成すストーリーはどれもフィクションではなく
どこまでも如実に現実を描写した
限りなく現実の世界に近いところにあるコトバたちで
過去に出会ったそんなコトバたちが
時としてふとデジャヴのように、フラッシュバックの様に
脳天の左奥隅あたりからやってきて
どかんと一発フックを打って過ぎ去って行くときがある。

十代の頃に喰らったパンチとは違った角度から
パンチを打たれたような気がして、つい購入。

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  自分の感受性くらい  茨木のり子

  ぱさぱさに乾いてゆく心を
  ひとのせいにはするな
  みずから水やりを怠っておいて

  気難かしくなってきたのを
  友人のせいにはするな
  しなやかさを失ったのはどちらなのか

  苛立つのを
  近親のせいにはするな
  なにもかも下手だったのはわたくし

  初心消えかかるのを
  暮しのせいにはするな
  そもそもが ひよわな志にすぎなかった

  駄目なことの一切を
  時代のせいにはするな
  わずかに光る尊厳の放棄

  自分の感受性くらい
  自分で守れ
  ばかものよ
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この人は、どれだけ自分にまっすぐで誠実な人だったんだろう。

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