Interview : Vol.1 リンダ3世


これは、ソウルから東京に移り住みむことはや30年を迎えた一介の日本在住コリアンがお届けするドキュメント企画、記念すべき第1号。いまの日本を自分なりの視点で切り取ってみよう!という取り組み。


こうして長いコト日本に住みながらなにか自分にしかできないことを探したいなーと思っている。まだまだ答えに近づくには長い道のりになりそうだけれど、ジワジワと込みあがるものが蓄積してきている。最近、自然と体が動き始めてしまっている。自分の中で何かが動き出してしまったようなので、それに制限をかけることなくゆっくりと前に進めて行こうと思う。あまりうまく言えないのだけれど。だから、まずはいろんな人に会ってみることから始めようと思っている。なんでいまなんだろう・・・ここ数年いろんな出会いと読書を通じてものすごい「日本」というものに興味が湧いたから、かなぁ。


これまでは「日本」という存在を正面から捉えようとすることに抵抗していたんだと思う。いつの日か、そういう自分を早くやめたいと思ったし、学べば学ぶほどに日本の中にはとっても面白いことがたくさんあることに気付いた。「外の扉を開くためには、どんどん中に入っていくことが重要」なんだなって、なんかそんなことを思い始めた。10代の頃って、いろんな生い立ち・バックグラウンドをもった人間とたくさん語り合った。徹夜とかしながら。飲んでたんだけど。在日コリアンの連中、韓国留学先で会ったいろんな国の学生たち、旅先で行き交うその土地の人々。そういうのってホントに貴重な財産と経験になってる。そういうのって、ほんとに大事。トシとか関係ない。そして、とにかく人々に情報だけは届けやすい時代になったようだから、自分の記録がなにかしらでどこかのだれかにちょっとでも影響したらいいなと思って、記録する。だれかのためになる記録を、目指そう。


大きくテーマは、いまのところ「多様性」についてか。このコトバ、たまに耳にする。なんだか聞きなれているようでつかみどころのないこのコトバ。これに、立ち向かってみよーう。なんか面白い発見があるかもしれない!!


というわけで、そんなことを考えながら記念すべき第1号を飾ってくれるのはご縁あっておしゃべりしてくれたリンダ3世のみなさん。3,4年前のデビューの時から、僕は実はとても気になっていたので!日系ブラジル人ガールズユニットの女の子たちって、何考えているんだろう・・・だって、このジャンル、明らかに新しいだろ・・・って思ってたんで!!

※取材にあたったのは筆者+筆者の長年の友人”えびしゅー”こと海老原周子さん!ふたりとも相手がアイドルだけに気持ちテンションたかめ。



リンダ3世 Official WEB

群馬県の日系ブラジル人コミュニティより、2013年に結成された平均年齢15歳の5人組ブラジリアンガールズユニット。
全員学生であるため休日を中心に群馬県を拠点に活動中。 デビュー前に公開された『未来世紀eZ zoo』のミュージックビデオが話題になり、YouTubeでの再生回数が僅か一ヶ月未満で10万回を超え注目を集めた。 満を持して2013年4月に『未来世紀eZ zoo』でデビュー。 また、その3ヶ月後の夏休みには「TOKYO IDOL FESTIVAL 2013」にて東京での初ライブ、「Summer Sonic 2013」「Tokyo Girls Collection」と、デビューした年から様々な大型イベントに出演。 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2014」にも出演するなど、群馬県外のイベントにも多数出演し、数々のメディアで紹介され、更なる注目を集めている。 日本を熱狂させるのは、“J”ではなく、“K”でもなくて、ブラジルの音楽を取り入れたサウンド”B-POP”が話題となるのは間違いない! 2015年にYouTuber(ユーチューバー)としても活動、毎週3つの番組にて動画配信。 2016年にはブラジルで行われる五輪もあり、日本を熱狂させるのは、“J”ではなく、“K”でもなくて、ブラジルの音楽を取り入れたサウンド ”B-POP”が話題となるのは間違いない!
今後もYouTubeを活かして、日本とブラジルのファンにリンダ3世の “b-pop” を届け続ける。日本とブラジルの架け橋になる注目のグループです!


北千住から東武りょうもう線に揺られること1時間と少し。群馬県は太田市の地にはじめて降り立ち、日本有数のブラジルタウンと呼び声の高い大泉町のスーパーマーケットでインカコーラが大量陳列された通路をかき分けかき分け、たどり着いたレストランでポルトガル語の洗礼を浴びたらふくシュハスコ肉とマメとたいらげ、彼女たちの待つダンススタジオに向かった。


彼女たちは広々としたスタジオの中央で律儀にイスを並べて待ってくれていました。事前にマネージャーさんには「多様性について話したいです」と、ざくっとしたことを伝えていたのですがたぶんみんなポカーンだろうな、と・・そんな不安を抱えつつ会話をスタート。


メンバーのうち双子のサユリちゃんとシオリちゃんは最近韓国にハマっているらしい。ユカレンは自称パリーピーポー。最初聞き取れなかった。パーティピーポー・・・10代との会話に新鮮さと若干の戸惑いを感じながら徐々に聞きたいことを少しずつ・・・


生い立ちについて


金:みんなお互いのことかなり知っているよね?みんなの出身は日本?海外?


ムツミ

ムツミ



ムツミ:生まれはリオデジャネイロ。4才で日本に来てから日本で生活しています。両親と来て10年ぐらい。記憶はあまりないです。

サユリ・シオリ:お母さんはブラジル人。お父さんはペルー人。日本で知りあって私たちが生まれるときブラジルに行き、ペルーに引っ越して、日本に行ってまたブラジル行ってまた戻って来て・・・、一番長いのは多分日本です。


金:忙しいですね・・・

サクラ:日本で生まれお母さんと兄弟2人とブラジルに行って、1年ぐらい(ブラジルで)過ごしてまた日本に戻って・・・今です。記憶はちょこっとしかありません。ブラジル戻ったときは4才ぐらい。

ユカレン:日本で生まれて1才か2才でブラジル行って1年経つか経たないかで日本に戻って来てそのままずっと日本です。


言葉について


金:日本以外の国で暮らした経験があるんですね。僕は生まれて45日で日本に来たので、全然記憶が・・言葉は?普段何語を使っている?

ムツミ:家ではポルトガル語で話して、外とか学校だと日本語で。

サユリ・シオリ:普通混ざってますよ。日本語とポルトガル語。スペイン語も喋れるので、3カ国語混ざっています。2人だけだとスペイン語、みんなといるときはポルトガル語で、学校の授業の時は日本語で。英語の授業の時は英語でみたいな。超大変です。

ユカレン:日本語です。ポルトガル語あんまり得意じゃないんですよ。言っていることはわかるけど話せないんですよ。だから全部日本語で答えちゃって。


シオリ

シオリ



シオリ・サユリ:私たちは混ざっているんです。だからどっちが一番得意かは言えない。でも一番話しているのはスペイン語。

ムツミ:私は両方とも喋ってますが、家ではポルトガル語で。学校以外ずっと家で過ごしているから。ひきこもりアイドル・・・新しいジャンル・・・

サクラ:私は家ではお兄ちゃんとは日本語。親とはポルトガル語。学校は日本語。

サクラ:学校でも外国人がいるけど先生が厳しくて。学校では日本語以外話すなと。他の日本人の友達とかに失礼、悪口言われているのかなとか思われるから。

そんなこと言われるんだー。(サユリ・シオリ)

小学校の頃に言われてたー。(ムツミ)


ナニジン?


金:どこの人ですか?と聞かれたら?

シオリ:「ブラジル人」と言うこともあるけど、やっぱり「お父さんは日本とペルーのハーフです」。長いんですよ。なんでスペイン語喋れるの?と聞かれるとまた説明しないといけないからもう一気にそうやっています。

サユリ:クォーター。ペルーとブラジルと日本。

サクラ:わたしは簡単にハーフです。ブラジルと日本のハーフです。シンプルに。

ムツミ:私はどっちだろう。ハーフ・・・でも最近はブラジル人とすごく関わって・・・聞かれたら・・・「ブラジル人」です。


ユカレン

ユカレン



ユカレン:日本人ですね。最初にブラジル人というんですけど、日本人。はじめめて会った人には「ブラジル人だけど日本人」と言いますね。

ムツミ:最初ユカレンとあった時には日本人だと思った。顔つきがメンバーと比べたら日本人みたいな顔なので。

サユリ・シオリ:ユカレンは日本人みたいにバーって全部日本語で話すんですよ。ポルトガル語全然喋らなくて。なんでポルトガル語喋れないのに(リンダ3世に)入れたの、みたいな。日本人じゃん?と思って、だけどブラジル人ななんだとわかってみんなびっくりして仲良くなりました。

ムツミ:私たちのおかげでユカレンのポルトガル語がうまくなりました。冗談ですー。

ユカレン:去年YouTuberの活動をしてたんですよ。ブラジルに向かって。日本のポップカルチャーを紹介しようとポルトガル語でやりました。それで勉強しました。

サユリ:最初みんなすごい下手だった。喋れるんですけどちょっと変。ポルトガル語は複数形だとsとか最後につけないといけないんですよ、それを言わなかったり。例えば、本当はcoisas なのにずっとcosaって言ったり。


このあたりの話でみんなドっと盛り上がる。インターネットにある「ハーフあるある」の記事が面白いとか、「未だにハーフとクォーターの違いがわからない」とか。みんなそれぞれが説明をしてくれて。かつて「ここが変だよ日本人」なんて番組がありましたがそんな感じのテンション。この手のハナシって共感できる相手が見つかったときにぐっと人間の距離を縮める感覚がある・・・不思議ー。





さて、話は続く。


街中で、どう話しかけられる?


金:東京にいたら何語で話しかけられるのか?

シオリ:大体英語。ハロウィンの日に東京でライブがあってすごく外国人が来て。英語で話しかけられたけど”Party”しかわからなかった。日本人のマネージャーがブロークンの英語で説明したけれど、とにかくなにか言われたら”Sorry”.その時は洋楽にはまっていて話しかけられたときHello!!と元気に返したけど・・・その後が全く続かない・・・

サユリ:原宿に行った時にアメリカ人に話しかけられたけど全くコミュニケーションがとれなかった。

ユカレン:私は日本語ですね。顔つきが目立たないから。


サクラ

サクラ



サクラ:金髪なので、目立つですね。学校では地毛だよね、と聞かれます。ヤンキーとかと勘違いされますね。優しいのに第一印象が悪いんです。真顔も恐いと言われたり結構おっとりなんですけど顔が死んでると言われます。でも家ではテンション高いですね。

ユカレン:逆に日本人ぽく見られるので「え!意外!」と言われます。「日本人だよね?」と聞かれて「ブラジル人だけど自分では日本人だと思っているよ」というとだいたい「かっけー!サッカー出来る!?サッカー強い!?上手いでしょ!?」と言われる。

ムツミ:体育の授業でも大体サッカーでゴール入れると「さすがブラジル人!」と言われて調子にのりますね。もっと褒めてみたいな。入らないときは「次はいけるよ!今日はダメなだけ!」みたいな。


5人それぞれ境遇も考えも絶妙に違いがあるんだなぁと、会話をしながら感じる。おそらくこの手の話は日本に住むブラジル人コミュニティの中ではあるある話なんだろうなぁと思いつつ・・・髪の毛の話とか、サッカーの話とか。こうして聞いてみて初めての発見。さて、いくらでも話せそうだけど日も暮れてきそうだったので締めくくりに向かう。


これからについて


金:3年間活動してきて、今後どんなアイドルになっていきたいですか?

シオリ・サユリ:日本人のアイドルとは考え方・ライブの仕方が違う。衣装や曲とかもも自分達のジャンルでやってますし。必ず曲の中にサンバのリズムをいれています。言葉もブラジルの「サンバ!」「リンダ!」とか簡単な日常で使える言葉を入れたり工夫をしています。他のアイドルと違うのは「なるべく素でいるように」「あまり真似しないように」新しいことを段々と試したり。


えび:これから挑戦したいことは?

ムツミ:もうちょっとポルトガル語うまくなってブラジルいきたいです。ブラジルでライブしたいです。Youtube5を始めた時に凄くブラジル人のファンが増えて、メールが来たりコメントが来て入りしているので、今のリンダ3世じゃいけない。ポルトガル語が通じない。もっと上手くなってブラジルでライブをチャレンジしたいです。


金:なぜブラジルにはこんなに多くのファンが?

シオリ:たぶん、ブラジル人が日本で活動が出来たから。今までなかったじゃないですか。アイドルでそういう活動がなかったので。今、ブラジルで韓国アイドルがブームで日本もすごく流行っていて、みんながリンダ三世のグループをYoutbeで発見して、知って好きになって。「ブラジル人として嬉しい」という事を言われたりする。


金:YouTuberをやったことがポルトガル語をやるきっかけになった?




リンダ3世:始める前にマネージャーさんから宿題もらってポルトガル語の練習したり。間違えたら喋り直すとか、その練習を重ねた結果出来るようになった。それまでは日本向けだったんです、リンダ3世は。

ユカレン:とりあえず今は日本にいるブラジル人に私たちのパフォーマンスを知らせたい。はじめてブラジルのイベントに出た時、ブラジル人ばかりでみなダンスとか歌に対して厳しい目で見るんです。厳しい目で見るから当時緊張して「下手」と言われるかなと怖がってたけどステージに出た瞬間みんな叫んでくれて、拍手をしてくれて。「サンバ!」と叫んだ時もみんな「最高だぜ!リンダ3世!」と言われて。大泉ででした。東京でやったブラジルカーニバルが一番印象に残ってます。去年の春にやったんですけど、ブラジル人の歓声がすごい。テンションが違うのとブラジル人がいると親のテンションがすごく高くなる。サクラのお母さんも超え高くソロパートをサクラが歌うときは、叫んで応援していました。ブラジル人は一回、地震もあったので帰りましたが、また戻ってきてる。

ムツミ:Bpop私たち独自のサウンドをみんなに知ってもらいたいです。ブラジリアンポップ。


サユリ

サユリ



サユリ:誰にもコピーされない、私たちしかできない。私たちがきっかけで全く別のグループだけど日本人とブラジル人のアイドルグループが出来たりもしている。そういうのを増えてほしいと思っていて、ブラジル人と日本人がもっと仲良くなって欲しいと思っています。


金:アイドル活動だけじゃなくて、実はこういうことを将来やりたいとか、こんな夢があるとかありますか?

サユリ:私はコミュニケーションの勉強をしたくて。色んな国に行って色んなホテルをチェックしてランキングをするという仕事があって。私のおばさんがそういう仕事をしていて。色んな国を見てみたい。旅がしたい。同じ国にずっといるのは・・・

サクラ:まだ将来の夢はないんですけどこの春から高校生になるので、色んな検定とか資格とかとって将来に役立つものを見つけていきたい。

ムツミ:私は通訳になりたいです。あと、歌手。


金:通訳と歌手を同時でやっている人はすごいですねー。

ムツミ:うち、手伝うのが好きなんですよ。話せない人とか。役立ちたいなと思いました。きっかけは、お父さんとお母さんが色んな書類が書けなくて私がちょうど日本の学校で勉強していたんですよ。その時に「書いて」とお願いされたりして。調べてお父さんに教えてあげたりして。誰かを手伝うのが楽しく感じました。

シオリ:お父さんとかお母さんはずっと仕事だけしているので、勉強している時間がないじゃないですか、あまり日本語話せない、読めない、書けない。だから大泉町って便利だなと思いますね。ブラジルの店も会ったりして、通訳さんもあったりして、色んなものがあるから便利だなと思いますね。

ユカレン:特に今は夢はないんですが、平和に暮らせたら。平和で充実した安定な生活。もちろん歌手になりたいと思いますが、一番は平和ですね。色々な国際情勢とかあるし、平和で暮らせたら。楽な仕事ないけどね・・・。


リンダ3世のみなさん

リンダ3世のみなさん



1時間以上に渡って会話をしてくれた彼女たちは、たとえ生い立ちの話になっても決して戸惑うことなく堂々と答えてくた。人前に出て自分を表現する活動を通じて、少なからず自分の存在に一度は思いを巡らせたんだろうなと、会話の端々から感じる。自分のカラダの中にいろんなルーツとか物語が流れていると、人はそれを解釈しようとする。ブラジル、ペルー、スペイン語、日本語、群馬・・・時にもがいたり苦しむこともあるけれど、そういう葛藤も経験しながらもっともっと大きな複合的な自我を形成していく。こういうプロセスこそが「多様的自己」であって、世の中の多様性を理解する礎になるんじゃないかと、改めて感た!!(また固くなってしまった・・・・)

他に類を見ない日系外国人をアイデンティティとした彼女たちの活動にぼくは今後も注目しています。リンダ3世のみなさん、今後も頑張ってね!!

はじめての試みがすごく長くなってしまった!この探索の果てにどんな景色が見えて来るか。次はだれに会いに行こう?旅は続く〜。

2 Comments

  1. 匿名

    面白い試みですね。続けてください。楽しみにしています。

  2. 匿名

    リンダ3世の曲を毎日聴いています。
    内容の濃い記事をありがとうございます。
    より彼女たちのことを知れました。

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